■PHILOSOPHY

「様々な公共性」
 建築を考えるとき、
「この建築は、人と人、人と街、人と自然の関係を育めるか」という
テーマに向き合いたいと思っています。
その中でも、人と街との関係について、
学生時代から、街が人間関係を失っていくことへの危機感がありました。
どのような建物にも公共性のある空間があれば、
楽しさに溢れる街並みにつながるのではないかと楽観的な視点で考えています。
たとえば、最も私的な建物用途として、住宅があります。
住宅は、生活の器です。
しかし同時に、一つの住宅は街並みをつくり、近隣との距離感を決め、人々の記憶の一部にもなります。
建築は、内と外、公と私、人と自然を分けるものではなく、その境界や距離を設計するものではないか。
その境界に「あいまいさ」や「余白」を残したいと思っています。
縁側や土間、軒下のように、内でも外でもない場所。
目的を決めすぎず、人や風景をゆるやかに受け入れる場所。
そんな空間が、住宅でありながら街に小さな公共性を生み出していく。

藤野という町の魅力的な自然や人々が、さらにこの思いを強めるきっかけになりました。
「この建築は、人と人、人と街、人と自然の関係を育めているだろうか。」
その問いに立ち返り、わくわくしながら、日々設計活動に向かっています。

「建築士を志したきっかけ」
 私が建築士を志したきっかけは、1995年の阪神・淡路大震災です。
ニュースで見た高速道路や建物が倒壊する情景に、本当に大変なことが起きたと衝撃を受けました。
当時、小学生だった私のなかには「ものづくりで人の役に立ちたい」という思いが芽生えました。
幼少期から好きだったものづくりが、建築という仕事につながった原点です。

「建築へのおもい」
 設計とは、形を考えることだけではないと思っています。
まず考えるべきなのは、「このプロジェクトの本質は何か。」という問いなのではないか。
敷地の個性、暮らし方、コンテクストとの関係。
そこから導かれた考えが、空間となり、構造となり、素材となり、形になっていきます。
私は、形から設計するのではなく、問いから設計したいと考えています。

「対話と透明性」
 建築は、正解が一つではありません。
だからこそ、「なんとなく良い」ではなく、なぜその判断に至ったのかを共有することが大切だと考えています。
スケッチ、模型、図面、CGなど、それぞれ異なる視点を用いながら、感覚をできる限り言葉や数値へ置き換え、施主との対話を重ねます。

「学び続けること」
 建築は、一生学び続ける仕事です。
学生時代から今も変わらず、建築を見て歩き、スケッチを描き、写真を撮り、なぜその空間に心が動くのかを考え続けています。
また、一人の知識には限界があります。構造、環境、施工など、それぞれの専門家との対話を重ねながら、多角的な視点で建築を作っていきます。